【備忘録】ミュージカルは世界史を学ぶ最高のツールである。

観劇記録

 

こんにちは。

先日有給を使ってミュージカル観劇をしました。

とっても奥深い作品だったので、ぜひ感想を残しておきたいなと。

 

観劇したのはジャニーズWESTの小瀧望さんが主演を務めるミュージカル

「ザ・ビューティフル・ゲーム」です。

 

ザ・ビューティフル・ゲーム | 公式サイト

 

以前嵐の櫻井翔さんが演じられたことのある作品だそうです。

 

私は基本的に1度目の観劇は予習なしで臨むのが好きなのですが、

今回は2度目を観る予定がないので母に軽い説明をしてもらいました。

観ていない作品についての説明を聞いてもそんなに理解できないんですけどね。

時代が違うことを前提におきながら見ることができれば大丈夫そうだったので、

比較的楽な気持ちで観劇日を迎えました。

 

 

以下、私が個人的に調べたことや感じたことをざっと記録していきますが、

あくまでも個人の意見ですのでお手柔らかにお願いします。

また、作品の内容に触れますので観劇前の方はお気をつけください。

時代背景や大筋を掴んでから観劇したい方や、観劇後の反芻作業のお供にぜひお読みいただけたら嬉しいです。

ちなみに色恋の話は一旦飛ばしますのでご了承ください。

 

一つ言えるのはただひたすらに愛を信じ、

信念を貫き通す強さがあるメアリー(木下晴香さん)がただただ美しかった。

彼女の考えや行動が正しいという話ではないのですが、私には彼女の強さが眩しく見えてなりませんでした。

 

 

それではれっつごー!!

 

物語の背景

物語の舞台は1969年から1972年のイギリス領北アイルランドの首都ベルファスト。

当時の北アイルランドは宗派によって激しい衝突が起き、街が分断されていました。

そんな不安定な世の中でも、サッカーを愛する人々は日々行われる試合をこう呼ぶのです。

「ザ・ビューティフル・ゲーム」

小瀧望くん演じる主人公「ジョン」はプロサッカー選手を夢見る青年。

登場人物がどの宗派に属しているのかは後述しますが、

ジョンの所属するチームは宗派の線引きがないカトリックとプロテスタントの混成チーム。

 

まず今作を語る上で重要な宗派による認識の違いを明記しておきたいと思います。

今作でキーとなる宗派は大きく分けて2つ。(本当はもっと細かく分かれているのですが便宜上このように表現します)

世界史大嫌いな私がインターネットで調べたことを手短にご紹介。

ちなみに中田敦彦のYouTube大学の説明がめちゃくちゃわかりやすかったのでおすすめです。

前提として、どちらも大元としてはキリスト教です。

そして、私は観劇後に調べるまで知らなかったのですが「アイルランド共和国」と「北アイルランド」は別物。

前者は一つの独立した国家であるのに対して、後者はイギリス領なのです。

世界史の授業とっていればよかった。(消去法で地理を選択した女)

 

 

1:カトリック

・イメージカラーは(イメージカラーってアイドル以外にもあるんだね)

・「ザ・ビューティフル・ゲーム」のチーム内ではこちらが多数派っぽい。

世界的に見ても後述するプロテスタントよりカトリックの人口の方が多い模様。

・北アイルランドの中でもアイルランド寄りの思想。要はアイルランドの多数派はカトリック。

 

(ただ北アイルランド全体で見ると、次に説明する「プロテスタント」の方が多数派かも?)

 

カトリックはまさに「偶像崇拝」です。イエスキリストの像がある教会はカトリックってことですね。

聖職者は「神父」と呼びます。

今作でチームの監督は「神父様!」と呼ばれているので、カトリックが多数派であることがわかります。

 

まぁ色々端折りますが、ある時カトリック側が免罪符という「罪の軽くなるチケット」を有料販売したらしいんですよ。(豪華な教会は設備維持にもお金が必要)

これにふざけんな!と言ったのがもう一つの宗派です。

 

2:プロテスタント

・イメージカラーはオレンジ

・北アイルランドの中でもイギリス寄りの思想。

・チーム内ではカトリックに比べて少数派。

彼らは「聖書主義」なので、教会にはイエスキリスト像はありません。

カトリック系の豪華な装飾を施されたような教会ではなく、比較的質素な教会なんだそうです。

 

ちなみに聖職者の呼び方は「牧師」で、

神父が男性のみであるのに対して牧師は女性でもなることができます。

 

 

私には何で元の教えは同じで、信じるものも同じはずなのにバトルが勃発するのかはさっぱり理解できませんが、

帰属意識の違いが引き金となって街中で大きな衝突が生まれたのです。

 

内容を一つずつ振り返ると卒論になるので省略していきますが、

結構序盤から若者が次々と被害に遭うんですよね。

 

中でもチーム内でプロテスタントのメンバーに意地悪をしていたトーマス(長身眼鏡)が、

中盤あたりからカトリック系過激派組織「IRA」に入ったことによって

ジョンの運命が変わると言っても過言ではありません。

 

自分のことだけではなく身近な人がどんな思想の下で、

どんな行動をしているかを注視しておくことも重要であるようでした。

 

試合に勝利した日の夜にチームの仲間であるジンジャー(カトリック系)

プロテスタント系の集団に襲われ命を落とし、その後トーマスは過激派組織「IRA」の一員に。

 

ジョンがトーマスに助けを求められるシーンがあり、結婚初夜にも関わらず友情をとってホテルを飛び出します。

メアリー死ぬ気で止めたのにね。私なら許さない。

 

 

「眼鏡をなくしてしまった」

ジョンを呼び出す電話でトーマスが伝えたらしい言葉ですが、よく覚えていてください。

彼は眼鏡がないと見えないくらい視力が悪いです。

 

 

後日サッカーのプロテストの最中に警察が現れ、トーマスの逃亡を手助けしたとして逮捕。

(本人は友達を助けただけだと主張しますが意味をなさず。当時監獄に収容するのに真っ当な理由など必要なかったのかもしれません)

ちなみに逮捕される少し前のタイミングで奥さんのメアリーは妊娠発覚してます。マジで最悪のタイミング。

 

チームの主要メンバーで唯一のプロテスタントであったデルは、

カトリックの彼女クリスティンとの間にできた子供と家族3人でアメリカへ逃げるのですが

実はこの2人の選択が一番賢かったのではないかと私は思っています。

自らの思想を重んじ戦い続けた人々がいる一方、自分たちの自由を求めて他国へ逃げる選択もあったわけです。

10代やそこらでその決断ができるのはものすごい覚悟がないとできないと思うからです。

 

また、同じタイミングでチームメイトだったダニエル(カトリック)はトーマスによって冤罪をきせられた挙句、

戦力を喪失させるために(?)銃で膝を撃ち抜かれます。しかもメアリーの家でです。

2階には赤ちゃんがいるのによくもまぁ。

 

自分の家で発砲されるのシンプルにめっちゃ嫌じゃないですか?

そこで暮らしていくの無理すぎて、そのシーンの私はめっちゃ険しい顔してたと思います。(知らんけど)

 

でもトーマスの言葉は戦争というものの本質を捉えているものが多くて、

観劇中メモを取ったのも彼の言葉がほとんどでした。

 

「自由を求めて戦うのは殺人じゃない。戦争だ。」

「勝つためではなく、相手の勝利を阻むために戦うのだ」

 

相手サイドが降伏しないことも、自分たちが降伏できないことも分かっている。

結局ジョンの件を密告して監獄行きにしたのはトーマスで、

ジョンもそれをどこかのタイミングで知ったようでした。

 

囚人たちは監獄のことを「IRAの大学」と表現していましたが

ジョン自身も”そちら側”の思想に染まって初めて真実を理解したのかもしれません。

 

真実を知ったことを打ち明けた後、バーカウンターでジョンはトーマスに銃口を突きつけこう言います。

 

「今のお前を撃つことはできる。でも昔のお前を撃つことができない。俺たちは友達だった。」

 

ジョンは自身の将来を潰され新婚生活もろくに送ることができず、我が子の誕生も喜べない状態に陥ったのに、

それでも自分を売った親友の存在を守るのです。共にサッカーをした仲間として生かすという一つの大きな決断。

 

でも、実はそんな綺麗なお話ではないのも事実で。

 

「俺がやってるのは、お前だけじゃない」

 

ジョン以外にも同じようなことをしているということはすなわち、

他にもトーマスの命を今すぐにでも撃ち落としたい恨みで膨れ上がった感情を持て余す誰かが複数人いるということ。

明日命があるかわからない、それだけのことを毎日しているということです。

 

ジョンがトーマスを残してその場を去った後、男性2人組が徐にやってきてトーマスを連れて舞台袖に捌けるのですが、

2人に促されその場を去るときにトーマスは最後に着けていたメガネをカウンターに残していきます。

 

 

その後、銃声が響き渡りました。

 

捉え方は人それぞれ

 

観劇された方はこのシーンをどのように受け止めたのでしょうか。

 

私はまさかすぐに撃たれてしまうとは思わなかったけれど(2人組のこと警察だと思っていたし)

銃口を突きつけられ、撃たれる時に目が見えない方が怖くないのではないかと思ったので、

”その場を去るときにはもう覚悟を決めていた”ということの暗喩だと思っていたのですが、

母はちょっと違ったようでした。

 

「あのメガネをジョンに遺していったんだと思う。」

 

母はもう何度も観劇しているので、その影響があるのかないのかはわかりませんが

こうも観る人によって受け取り方が全然違うと、感想を言い合うのも面白くていいなと思いました。

 

これは私の解釈が入ったものですが、、、

確かに結婚初夜に呼び出されたときなどに2人の友情の証として「メガネ」が使われていたことを考えると、

ジョンへ向けた友達としての最期のメッセージだったのかもしれないとも思いました。

 

 

書きながら思い出して泣きそうなのでこの辺りで締めます(笑)

しばらく引きずりそうです。

 

全体を通しての感想

 

とても重たい話ではあったけれど、ミュージカルだからこそ入ってくる事実を拒まずに済んだのかもしれません。

トーマスって一見すごく悪者に見えそうだし、実際やっていることは正しいとは思えないし今の倫理観でいうと一発アウトですが

当時はそうでもしないと「自分」という存在を認めることができなかったのかな?と思いました。

このミュージカルの真の主人公は彼ではないでしょうか。

北アイルランドの混沌としていたあの時代を象徴するトーマスの生き様は、現代を生きる私に大きな学びをくれました。

宗派の帰属意識による分断と衝突は今もなお続いていて、今回の観劇がそんな世界の歴史を知る一つのきっかけになりました。

 

小瀧くん本当に素晴らしい作品と出会えてよかったね。

真面目に見てそうって思われるかもしれないけれど、しょうもないことも沢山書いています。

 

実はユニフォーム脱ぐ時に顔を拭いていたこととか、

サッカーソックス履いている時に膝が見えていて「膝銀座やん」って思ったこととか、

人の上を飛ぶシーンで「WESTubeの跳び箱は伏線だったのか」って思ったこととか、

そんなどうでもいいことも沢山記録していたりします。

 

今回は2階の3列目の通路脇で、幸か不幸か隣も空席だったのでとても見やすくてメモも取りやすい環境でした。

流石に前方席ではメモの頻度も落ちますけどね!

私の目には録画機能は付いていないし、耳に録音機能も付いていないので原始的な方法に頼るしかないのです。

悲しいね。でもその「1度きり感」が特別感にもなって、生の舞台の付加価値として乗っかるんですけどね!

 

 

素敵な作品を観劇できて幸せでした。

有意義な時間をありがとう!

大阪千秋楽のチケットは取ってるけど仕事休めるか微妙なラインになってきてヒヤヒヤしています。

 

無事に千秋楽まで駆け抜けられることを願っています!!!

 

 

おしまい。

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